ごあいさつ

事業推進責任者

  本事業は、文部科学省「課題解決型高度医療人材養成プログラム(チーム医療に貢献でき、高い指導能力を持ったメディカルスタッフの養成)」の長崎大学における事業で平成26年度から5年間実施いたしました。

 近年、高齢化の進展に伴う医療需要の増大や地域包括ケアシステムの構築などにより、理学療法士・作業療法士に求められる役割や知識等が変化するとともに学校養成施設の増加により臨床実習の在り方の見直し等が求められていました。そのため、厚生労働省の理学療法士・作業療法士学校養成施設カリキュラム等改善検討会にて検討された結果、平成30年10月に理学療法士・作業療法士学校養成施設指定規則が改正されました。主な改正点は、総単位数の増加、専任教員の要件、臨床実習の在り方などです。臨床実習の在り方については、実習施設や実習指導者の要件を見直すとともに臨床実習の構成や方法等にも踏み込み「実習生が診療チームの一員として加わり、臨床実習指導者の指導・監督の下で行う診療参加型臨床実習が望ましい」と明記されました。一方、平成29年度からは新しい介護予防事業として地域リハビリテーション活動支援事業が開始されました。これは地域における介護予防の取組を機能強化するために、通所、訪問、地域ケア会議、サービス担当者会議、住民運営の通いの場などへのリハビリテーション専門職の関与を促進するものです。

 このような背景の下、本事業で取り組んだ主な内容は、1)卒前・卒後の継続的な教育プログラムの開発と教育指導体制の構築、2)臨床実習指導者の養成、3)地域包括ケアに貢献できる人材の養成、などです。本事業内容の概要は下記の通りです

 1)チーム医療実践教育・臨床実習推進プログラム 1~4年次まで段階的に配慮した、他学科・他学部の学生とのグループ討議やロールプレイなど課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(アクティブ・ラーニング)を積極的に取り入れた共修授業を行うことにより、チーム医療の重要性を理解できる学生が確実に増加しました。

 2)臨床指導者養成コース 本コースは平成28年度から3年間、4月から9月末まで6ヶ月間開講し、計121名が修了しました。カリキュラムの内容は、臨床実習関連やエビデンスに基づいた最新情報を提供するeラーニング及び集中講義、さらにOJT(On the job training)と実習モニタリングなどでした。

 3)地域包括ケア人材養成コース 本コースは平成28年度から3年間、10月から翌年3月まで6ヶ月間開講し、計135名が修了しました。カリキュラムの内容は、地域包括ケアシステム、介護予防などに関するeラーニング及び集中講義、さらに実際の介護予防事業や地域ケアマネジメントを体験できる実習などでした。

 以上、当初の計画通り事業を遂行することができました。これもひとえに多くの関係機関・団体の皆さまのあたたかいご支援とご指導の賜物と心から御礼申し上げます。  現在、平成31年度以降の事業の在り方や内容等について検討しているところです。今後も引き続き地域で高齢者・障害者の皆様の生活を包括的に支援できる人材を育成していく所存ですので、皆様のご理解とご支援を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。



プロジェクトリーダー

 長崎大学医学部保健学科が平成26年度に文部科学省の補助事業である「課題解決型高度医療人材養成プログラム」の採択を受け、平成30年度の5年間、「高度リハビリテーション専門職の養成-長崎地域包括ケアシステムを活用したプログラム-」を実施してまいりました。平成26・27年度は、プログラムで提供する目的や到達目標の設定やカリキュラム内容と提供方法について議論を重ねてまいりました。その結果、学部教育として「チーム医療実践教育プログラム」と「臨床実習推進プログラム」、リカレント教育の「高度リハビリテーション専門職養成教育プログラム」として「臨床指導者養成教育コース」と「地域包括ケア人材養成コース」の計4つのプログラム・コースを実施することといたしました。  学部教育のチーム医療実践教育プログラムでは、保健学科開設当初より実施してきた保健学科三専攻の共修科目を基本とし、平成27年度より医学科・歯学部・薬学部さらに福祉系大学との共修を進めていくことで、チーム医療及び多職種協働の重要性について教授できたものと思います。また、臨床実習推進プログラムでは、学生の医療職としてのアイデンティティ構築を目的に1・2年次の見学実習前と、 3年次からの総合臨床実習の前後にセミナーを配置し、臨床実習指導者-学生-教員の臨床教育に対する考え方を共有することができました。  リカレント教育では、「臨床指導者養成教育コース」と「地域包括ケア人材養成コース」とも120時間のカリキュラムを設定し、eラーニングによる受講を基本とし、各コースに多くの実習を取り入れることでより実践的内容を提供できました。両コースに対する受講者の満足度も高く、本報告書に示しました受講者の学会発表や地域での活動につながっているものと思います。

 さらに、本コースで培った成果のまとめとして「臨床実習教育ガイドブック」と「理学療法士・作業療法士のための地域包括ケアシステム構築に向けたガイドブック」を作成することができました。このガイドブックは現場の理学・作業療法士が実践する上で活用していただければと思います。  本事業は、今年度で終了いたしますが、理学・作業療法士の教育を取り巻く状況や地域包括ケアシステム構築に対する期待など、社会的要請は大きくなります。平成30年10月に理学療法士・作業療法士学校養成施設指定規則が改正され、臨床実習の形態においては、臨床実習指導者の指導・監督の下で行う診療参加型臨床実習へと転換していきます。また、平成29年度から全国で新しい介護予防事業・日常生活支援総合事業が実施され、リハ専門職の派遣による高齢者をはじめとする対象者の自立支援に向けた取り組みが期待されています。 本事業は、今年度で終了いたしますが、理学・作業療法士の教育を取り巻く状況や 地域包括ケア構築に対する期待など、社会的要請は大きくなります。平成30年10月に 理学療法士・作業療法士学校養成施設指定規則が改正され、臨床実習の形態においては、 臨床実習指導者の指導・監督の下で行う診療参加型臨床実習へと転換していきます。 また、平成29年度から全国で新しい介護予防事業・日常生活支援総合事業が実施され、リハ専門職の派遣による高齢者をはじめとする対象者の自立支援に向けた取り組みが期待されています。 これらの動向に対して本事業の成果はいかしていけるものであり、臨床指導と地域包括ケアに 関わる情報発信と各関係機関と協力した人材養成に寄与していきたいと思います。 今後ともご支援・ご協力をお願いいたします。 最後になりましたが、本事業の実施に際して多大なご協力とご支援をいただきました 関係各位、運営にご協力いただいた教員各位、そしてすべての事業にサポートいただいた スタッフの方々に深謝申し上げます。