研究室紹介
教員
役職 | 教授 | |
氏名 | 平野 裕子 | |
所属 | 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科保健学専攻 | |
専門 | 保健医療社会学 | |
略歴 | 1997年3月 | 東京大学大学院医学系研究科保健学専攻博士課程修了・博士(保健学)取得 |
1997年4月 | 九州大学医療技術短期大学部 助教授 | |
2002年10月 | 九州大学医学部保健学科 助教授 | |
2007年4月 | 九州大学大学院医学研究院 准教授 | |
2011年4月 | 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 現在に至る | |
2010年6-8月 | 厚生労働省医政局看護課「看護師国家試験における用語に関する有識者検討チーム」メンバー |
研究助成金
- 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B「経済連携協定に基づく外国人看護師の国際労働力移動と受け入れシステム構築に関する研究」(代表)平成21年度~24年度
- 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究B「外国人看護師候補者の看護師国家試験合格に向けた教育支援プログラムの開発」(分担)平成24年~28年度
- 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究C「東アジアの外国人介護職の国際移動を巡る比較研究・制度、スキル、言説」(分担)平成24年~27年度
- 日本学術振興会科学研究費補助金基盤研究C「介護労働の国際移動と異文化間介護・東南アジアからの介護労働者の参入を巡って」(分担)平成21年~23年度
- ファイザー・ヘルスリサーチ振興財団・国際共同研究事業「日越EPAによるベトナム人看護師の受入れに関する研究」(代表)平成23年~24年度
専門
保健医療社会学では、着眼する個人あるいは集団の健康や病気に関する現象を、それらと関係を取り結ぶ様々な公的・非公的集団あるいは個人との相互作用を軸に、学際的な接近を試み、質的量的データを用いて、施策提言を行います。
現在取り組んでいる「外国人看護師問題」を「保健医療社会学」的に分析する例を上げてみます。私は、外国人看護師個人のみならず、集団としての外国人看護師たちに着眼しています。また、彼女・彼らを送り出した家族・出身国の状況や、受入れ国日本で彼女・彼らを取り巻く制度・政府・医療機関・ステークホルダー・地域社会等との関係を包括的にとらえようと試みてきました。この包括的接近方法をとることで、外国人看護師らやその家族、送り出し国側の政府の思惑や、受入れ国側の日本政府(日本政府も官庁ごとに見解がことなり一枚岩ではありません)、受入れ病院等関係者らの思惑がそれぞれ複雑に絡み合った、ダイナミックな構造が明らかになってきました。
この複雑な構造の存在が示唆するのは、例えば、日本で社会的文化的葛藤を抱えた外国人看護師をメンタルケアすればそれで問題は解決するわけではない、ということです。そもそも二国間経済連携という「特例」で入国した外国人看護師らが(そして彼女・彼らを受入れる日本側もまたそうなのですが)、様々な葛藤を抱える背景には、何か根本的な「問題」があるに違いない。それは何なのか。また、その「問題」の解決のためには、私たちに何ができるのか、それを追究するために、看護学、保健学、文化人類学、歴史学そして経済学といった、様々な領域の研究者と共同研究を行っています。