国際交流

2016年2月27日-3月6日: 英国・オランダ研修
2015年度ヨーロッパ保健学研修
 2016年2月27日-3月6日に、英国とオランダを訪問しました。  英国・ロンドンでは、英国の国民保健サービス(NHS)の仕組みについてレクチャーを受け、キャサリン妃が出産されたSt Mary's Hospitalのバースセンター(NHS病院)およびPortland Hospital のmaternity unit(プライベート病院)を見学し、それぞれの施設環境やサービス内容について学びました。また、児童虐待防止協会(NSPCC)において、 英国における児童虐待防止活動について学びました。NSPCCは、現在は英国で児童虐待防止団体としては国内最大規模の団体です。今回は、刑務所で服役中の母親に対するケアについてレクチャーを受けました。ソーホーのジョン・スノウの井戸は工事中で見学できませんでしたが、ナイチンゲール博物館では「鶏冠グラフ」を見て、講義で学んだ内 容を再確認することができました。  オランダでは、産褥看護師として活動する日本人看護師の案内により、地域助産師グループの活動およびオランダの助産師教育についてレクチャーを受けました。家庭分娩率30%というオランダですが、様々な時代の変化等により助産師による出産ケアを希望する場合でも施設内での出産を希望する女性が少しずつ増加傾向にあるといったお話がありました。また、学生2名は、地域助産師が行う家庭訪問にも同行させてもらいました。  オランダでは2002年から安楽死が合法化されていますが、現在においても国内外で安楽死に関する様々な議論があります。安楽死協会で、オランダの安楽死に関する法制度と課題についてレクチャーを受けました。安楽死に関する多様な価値観や議論を通して、自らの医療者としての倫理観について考える良い機会になったと思います。 今回は、初めて、ビュートゾルフ(地域包括訪問ケア)も訪ね、訪問看護師および家庭医らからオランダの地域包括訪問ケアについてレクチャーを受け、意見交換を行いました。ビュートゾルフは、看護職の他、リハビリテーション専門職や介護職も所属していますが、機能別に分業することなくチームでトータルケアを実践しています。またリーダーや管理職を置かず、それぞれのスタッフに裁量権が与えられている自律したチームでケア提供をしていることや、「オマハシステム」を利用したICTシステムによって記録やケアプランを共有・管理している等、興味深いお話を伺いました。  研修参加を通じて、日本とは異なる保健医療サービスの提供体制や保健医療人材教育システムを学ぶ機会となったと思います。また、語学力を含むコミュニケーション能力や海外における危機管理についても考える良い機会となりました。今後、この研修に参加希望の学生は、ディスカッションの際に、通訳を介さずに、自分で質問したり意見を述べることができるように、普段から地道な英語学習を継続して下さい。
2015年度3月:オランダ・英国研修(報告・写真パネル)写真パネルPDF-PDF:604KB