運動イメージの持続的な反復に伴う精神的疲労の出現過程を明らかにする研究

Projected by: 中島 輝

リハビリテーションにおける
運動イメージの活用

運動イメージは明確な運動や筋活動が無い状態で心的に運動をシミュレートする行為であり,持続的に反復することで運動課題の遂行を改善することが期待でき,運動療法を補完する介入方法の一つとして注目されている.既に脳卒中麻痺側上肢機能に対する効果についても複数のRandomized Controlled Trialを用いた研究が実施されており,システマティックレビューにおいてもその有効性が示されている.


介入方法の標準化に向けて

しかしながら,身体機能の改善を目的に運動イメージを用いた研究は,介入の時間や頻度は各研究で様々であり,標準化された介入方法の確立が求められている.そのような中,近年は運動イメージの持続的反復に伴う精神的疲労の出現がパフォーマンスに悪影響を与えることが注目されている.


精神的疲労を「視る」

そこで本研究の目的は,運動イメージの持続的な反復に伴う精神的疲労の出現過程を筋発揮の異なる課題を用いて主観的評価と客観的評価の両面から明らかにすることである.まず運動イメージ課題を日常生活で身近な動作とし,運動イメージの鮮明度を担保した上で長時間の運動イメージセッションを実施する.主観的評価は質問紙法を用い,客観的評価ではTMSを用いる.TMSは運動イメージ中の一次運動野の興奮性変化を評価することができ,また時間分解能も高いことから,運動イメージの持続的な反復に伴う精神的疲労を調査する上で優れている.我々は,精神的疲労の出現並びに集中力の減退に伴い,運動イメージ中の一次運動野の興奮性は低下してくるのではないかと仮定した.

イメージ課題とTMSのタイミング